新潟駅に降り立った時点でようやく腹が据わった。
駅周辺は、ベッカム、ベッカム、ベッカム。
俄か日本人イングランドファンでごった返す光景を見て、我々は今日はデンマークにつこうと決心したのだった。俺はイングランドTシャツを脱ぎ捨てた。Jさんは赤字に白十字のフェイスペイントだ。
デンマークには96年後半に浦和でプレーしたブライアン・スティーン・ニールセンがいる。
柏に7-0で勝利した国立でのゲームや天皇杯準決勝でのグッバイゲームなど、印象深い。俺的にはクレバーなボランチとして好みの選手だったが、オジェックの退任で構想外になってしまった。
そのニールセンはベンチスタート。
圧倒的イングランドホームのスタジアムの中、2階席でデンマークコールを発する。呼応するのは数人のデンマーク人のみ。出す声、出す声すべてイングランドコールにかぶせられてしまう。
雰囲気に飲み込まれたデンマークはミスから2失点を喫すると、前半終了間際にも完璧にやられて3-0。
スタジアムは酔っ払いイングランド人と便乗日本人ファンの天国になってしまった。
「スリー ノー トゥ ジ イングランド」
ゴー・ウエストのリズムで連呼される中、俺と指で数えられるほどしかいないデンマーク人たちはうなだれながら後半45分の悲しみを耐えた。
デンマークはボールをまわしてチャンスを伺ったが、最後の勝負までもっていけなかった。イングランドは埼スタで見たときとはまったく別のチームだったのだ。
そして9割5分を支配した、中立地とは思えない雰囲気でのトーナメント戦は、デンマークにはあまりにも酷だった。
せめて日本人は最後までゲームを見てほしかった。最後まで戦ったデンマークチームを称えるべきだった。まあ、あれだけの酔っ払いイングランド人が、ある意味魅力的なショーを繰りひろげていたら、それに目がいってしまうのは仕方のないことだけれど・・・。
結局、ニールセンのプレーは見ることができなかった。残念だった。


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